韓国9月のアートシーン報告
ビエンナーレとアートフェアの同時開催。美学・市場・政治のアジア最前線
FRIEZE SEOUL 2024、Kiaf SEOUL 2024、第15回光州ビエンナーレ、釜山ビエンナーレ2024、ほか
トーク／アライ＝ヒロユキ　美術・文化社会批評

いまや韓国は香港と並ぶアジアのアートのハブ（結節点）となっています。そのことを強く実感させたのが、今年9月上旬に同時開催された、世界トップレベルのアートフェアと２つのビエンナーレの協奏でした。さらにアジアのフェミニズム、韓国／朝鮮の政治闘争と美術をテーマとする展覧会も併せて開かれ、その多彩さ、ゴージャスさ、ラディカルさは日本にないまばゆいものがありました。
今年9月の韓国のアートシーンを画像付きで振り返り、熱気と活気に満ちた実情を紹介します。いちどきに集められた振り幅の広い作品とその展示意図を読み解きつつ、アートの可能性と日本に足りないものを、集まった方々と一緒に考えたいと思います。

●FRIEZE SEOUL 2024：Art Baselに次ぐ世界屈指のアートフェア。富裕層を惹きつけるいまのトレンドを紹介
●Kiaf SEOUL 2024：韓国最大のアートフェア。親しみやすい表現で熱気のある市場に
●第15回光州ビエンナーレ：「関係性の美学」のニコラ・ブリオーがテーマ「パンソリ」に挑戦。ヴェネチアのように各国パヴィリオンが31集結
●釜山ビエンナーレ2024：「海賊のユートピア」をテーマに、現代の脱出口を探る政治的表現
●「Connecting Bodies: Asian Women Artists」展（国立現代美術館ソウル館）：身体とフェミニズムが基軸の、アジア11か国の女性アーティストの展示
●侍天與民展（光州市立美術館）：甲午農民戦争および東学と光州事件をつなぐ、韓国／朝鮮の政治闘争の美術