「メソッド」
スタジオが建つ敷地の海側3Mぐらい落ち込んだ地面から密生した竹ばやしが海に向かって広がっている。竹の先の高さは、やはり3Mぐらい　私の足元でそよぐ、この竹の先あたりのレベルを歩けないものか?　と思う。そして想像する。もし歩いたら　きっと自分が幽霊に見えるだろうな。歩ける訳無い。だから此処から海に向かって細い桟橋をつくる。という妥協案を決める。
鉄パイプを組んで上面にパネルを固定していく。何せ幽霊見たさで始めた仕事多少の不安定感は、我慢する。
途中桟橋上を歩いてみる。想像以上に自分が今まで体験した事無い空間のなかにいた。桟橋は２０メートル先で途切れる予定だ。
このあたりからは、海は、見えない潮騒ばかりが竹ばやしを包んでいる。

山田和夫　2019/8/25