トキアートスペース2016年企画シリーズ「Real/Material」に寄せて。

作家の創り出すイメージは、自身の限定的な体験のみならず、社会性と歴史性をも孕んだ自己の蓄積を源泉として、成り立つものであると思います。

そして、それらが特別なもの（つまり作品）として創出される際には、強度をもたらすものとして、その扱う媒体（素材）との、作家の五感すべてを駆使し、場合によっては、第六感をも動員した関わりが欠かせないものであると考えます。

敢えていえば、扱う媒体(素材)それ自体にも歴史性と社会性が含まれており、その媒体(素材)の持つ記憶(イメージ)と作家自身の記憶(イメージ)が化学反応を起こすようにぶつかり、融合し、作品化されるのではないでしょうか。

ほり　けいし 　2016. 9